Ein aufgegebener Anfang der Übersetzung von File Nr 1 des Katahne Scripts. Keine Gewähr auf Richtigkeit. Vielleicht hat ja jemand Interesse daran.
<1,1> kata_console_normal
<1,2> kata_console_push
<1,3> kata_console_on
<1,4> kata_console_off
<1,5> 普通に起動
<1,6> ★クロハネ★
<1,7> 4週目スタート
<1,8> 三周目スタート(ココ)
<1,9> 二周目スタート(カバ)
<1,10> モスグルン行き(sr007~)
<1,11> 初回時スタート(アン)
<1,12> sr007
<1,13> kr01
<1,14> ココ視点
<1,15> ワカバ視点
<1,16> アンジェリーナ視点
<1,17> black450
<1,18> bg11a03
<1,19> Srhn_BGM14
<1,20> v00an0001
<1,21> アンジ「『Ein göttlicher Engel wacht über mich.』」
<1,22>
<1,23> v00an0002
<1,24> アンジ「『Über dieses Land, über die Puppen und unsere Technologien. Nichts davon werde ich dir übergeben.』」
<1,25>
<1,26> v00an0003
<1,27> アンジ「『Es hat keinen Zweck, zu entscheiden, wie lange du mich noch übertreffen und ausbeuten willst.』」
<1,28>
<1,29> Ich war allein in dem Raum.
<1,30>
<1,31> Völlige Stille.
<1,32>
<1,33> Sie blickte finster und schüttelte sanft ihren Kopf.
<1,34> v00an0004
<1,35> アンジ「『Mein Name ist Christina Dorn.』」
<1,36>
<1,37> v00an0005
<1,38> アンジ「『Als Beweis des Friedens zwischen Rot und Blau, gilt es das neue Land, Weiß, zu schützen,
<1,39> dies ist die Aufgabe, die mir anvertraut wurde.』」
<1,40> v00an0006
<1,41> アンジ「『Bis jetzt diente ich treu und
<1,42>
<1,43> …
<1,44>
<1,45> ihretwillen、
<1,46> werde ich denen, die Weiß feindlich gesinnt sind… uhm…』」
<1,47>
<1,48> black450
<1,49> v00an0007
<1,50> アンジ「(Noch einmal!)」
<1,51>
<1,52> v00an0008
<1,53> アンジ「『Bis jetzt diente ich treu und ihretwillen werde ich denen, die Weiß feindlich gesinnt sind keine Gnade währen.』」
<1,54>
<1,55> black450
<1,56> v00an0009
<1,57> アンジ「『…Antwortete mir,
<1,58>
<1,59> …
<1,60>
<1,61> Ain. Warum hast du mich
<1,62>
<1,63> …
<1,64>
<1,65> verraten?』」
<1,66>
<1,67> Sie ging leise zur Seite.
<1,68>
<1,69> .
<1,70>
<1,71> Er und Christina näherten sich immer mehr.
<1,72> sv005a
<1,73> v00an0010
<1,74> アンジ「『Das ist also deine Antwort. Dann beharrst du darauf, mich zu töten. .』」
<1,75>
<1,76> v00an0011
<1,77> アンジ「『Selbst wenn ich sterbe, Weiß wird nicht fallen.』」
<1,78>
<1,79> Beide hielten kurz inne,doch dann schritt Christina weiter und
<1,80> v00an0012
<1,81> アンジ「『–Ain Ronberg.』」
<1,82>
<1,83> v00an0013
<1,84> アンジ「『Die Nachwelt wird deinen Fehler mit allen Mitteln korrigieren.』」
<1,85>
<1,86> Nachdem er die Worte von Christina hörte
<1,87> nahm er das Messer, welches er im Saum seiner Robe versteckt hielt–
<1,88> black450
<1,89> v00an0014
<1,90> アンジ「–Der Raum wird dunkel und die nächste Szene beginnt.」
<1,91>
<1,92> Sie schloss die Augen und verlor sich in der nächsten Szene,
<1,93> doch sie schaffte es nicht wirklich sich in die Rolle hineinzuversetzen
<1,94> sv005c
<1,95> v00an0015
<1,96> アンジ「Puuh… Nach allem kommt man ziemlich aus dem Rhytmus, wenn man die anderen Rollen überliest.」
<1,97>
<1,98> Es ist hart, ohne Partner zu üben, wenn man die anderen Rollen nicht überliest.
<1,99> v00an0016
<1,100> アンジ「Schläft Rue Rue schon?」
<1,101>
<1,102> Ich brauche die Hilfe eines anderen.
<1,103> v00an0017
<1,104> アンジ「Nein, das ist nicht gut. Die Sache ist, dass selbst dieses Kind von der täglichen Arbeit erschöpft ist.」
<1,105>
<1,106> 深夜だというのに、こんなわがままに付き合わせたら可哀想。
<1,107> v00an0018
<1,108> アンジ「あたしはあたしで頑張らないと」
<1,109>
<1,110> いつまでも人を頼るわけにはいかない。
<1,111> ……これは、自分との戦いなのだから。
<1,112> v00an0019
<1,113> アンジ「(――クリスティナ。あなたは、どんな思いで『その刻』を
<1,114> 迎えたの?)」
<1,115>
<1,116> 白の国の最後の城主――クリスティナ・ドルンは、後見人で
<1,117> あったアイン・ロンベルクの裏切りによって若き命を落とし、
<1,118> 歴史の闇へと消えていった……と言われている。
<1,119> 信じていた家臣の謀反で、何もかもを失う悲劇の姫。
<1,120> そして
<1,121>
<1,122> こんにち
<1,123>
<1,124> 今日――
<1,125> v00an0020
<1,126> アンジ「(――きっと、彼女が望まなかったモノだけが残った……)」
<1,127>
<1,128> black450
<1,129> 後世の者たちが、クリスティナの哀しみとアインの非道を
<1,130> 忘れぬように語り継がれてきたお話は、こうしてひとつの
<1,131> 史劇として形になっている。
<1,132> でもクリスティナの本当の魅力は、劇の中で語られている
<1,133> ようなものとは違う気がしてならない。
<1,134> sv005b
<1,135> v00an0021
<1,136> アンジ「……そこまで演じられるかどうかは、まだ先ね」
<1,137>
<1,138> 地に足を着け、しっかりと未来を見据える。
<1,139> v00an0022
<1,140> アンジ「早く舞台に上がって、お金をもらって……お母さんに
<1,141> 少しでも恩返ししなきゃ」
<1,142>
<1,143> ……だから、いまは努力の
<1,144>
<1,145> と き
<1,146>
<1,147> 時間。
<1,148> v00an0023
<1,149> アンジ「(――待ってなさいよ、クリスティナ)」
<1,150>
<1,151> 今度のチャンスだけは、絶対に逃さない。
<1,152> v00an0024
<1,153> アンジ「あなたの役を――必ず射止めてみせるわ」
<1,154>
<1,155> black450
<1,156> SE10A
<1,157> trial_op
<1,158> bg02a01
<1,159> st00_a00
<1,160> v00tr0001
<1,161> 体アン「初めまして。あたしの名前は、アンジェリナ・ロッカ」
<1,162>
<1,163> st00_a01
<1,164> v00tr0002
<1,165> 体アン「いまは念願かなって、舞台に立てるようになったけど――」
<1,166>
<1,167> st00_a00
<1,168> v00tr0003
<1,169> 体アン「窓辺で練習していたころは、オーディション前のお話ね」
<1,170>
<1,171> st00_a04
<1,172> v00tr0004
<1,173> 体アン「懐かしいなー。もうあれから、どれぐらい経ったのかしら?」
<1,174>
<1,175> st00_a00
<1,176> v00tr0005
<1,177> 体アン「……ま、自分の話は後回しにするとして」
<1,178>
<1,179> st00_a01
<1,180> v00tr0006
<1,181> 体アン「今日は初舞台で一緒だった仲間たちの『旅のはじまり』を
<1,182> 見に、練習を休んで遊びに来たの」
<1,183>
<1,184> st00_a02
<1,185> v00tr0007
<1,186> 体アン「……そこ。暇人とか、野次馬とか言わないで」
<1,187>
<1,188> v00tr0008
<1,189> 体アン「だって、あたしは『青の都』でメンバーに加わったから、
<1,190> それより前の旅がどんなものか知らないの」
<1,191>
<1,192> st00_a00
<1,193> v00tr0009
<1,194> 体アン「苦楽を共にした仲間なら、知る権利があると思わない?」
<1,195>
<1,196> st00_a01
<1,197> v00tr0010
<1,198> 体アン「……ということで、良かったら一緒にどうぞ」
<1,199>
<1,200> black450
<1,201> black450
<1,202> Srhn_BGM04
<1,203> v03wa0001
<1,204> ワカバ「……ふふふ~ん、ふっふー♪ んー、んー?
<1,205>
<1,206> んーっ!?」
<1,207>
<1,208> sv006a
<1,209> タイピングの手を止め、用紙を送って書いたばかりの文章を
<1,210> 目で追う。
<1,211> v03wa0002
<1,212> ワカバ「ちっがーう!
<1,213>
<1,214> こんなの私
<1,215>
<1,216> ・
<1,217>
<1,218> の文章じゃないもん!」
<1,219>
<1,220> 勢いに乗って書いてたら、とんでもなく脱線しちゃった。
<1,221> 誰にも見られないよう、急いで問題の行に
<1,222>
<1,223> アスタリスク
<1,224>
<1,225> ***の連打。
<1,226> ちょっと調子に乗ると、いつだってこうなる。
<1,227> v03wa0003
<1,228> ワカバ「……慎重に、慎重にね」
<1,229>
<1,230> 文章って、すっごくデリケート。ほんの一言いじるだけで、
<1,231> 意地悪で悪い魔女が哀しげで憎めない老婆に変わったりする。
<1,232> 小さい頃、そんな魔法みたいな入れ替えに気づいてしまった
<1,233> 私は『小説家になるしかない!』って決意したんだけど……
<1,234> v03wa0004
<1,235> ワカバ「――世の中って、なかなかうまくいかないのよねー」
<1,236>
<1,237> お母さんの店の手伝いして、弟の面倒みたり、本屋さんで
<1,238> 立ち読みしたりで、あっという間に夜が来る。
<1,239> そこからタイプライターに向かって、『いざいざ!』って
<1,240> 腕まくりしても、もう寝る時間はすぐそこ。
<1,241> sv006c
<1,242> v03wa0005
<1,243> ワカバ「あーぁー。夏休みなんだから、もっと時間あるはずなのに」
<1,244>
<1,245> 毎日毎日、何かしらやらなきゃいけない雑用ができ、普段と
<1,246> 大差ない生活が繰り返されていく。
<1,247> v03wa0006
<1,248> ワカバ「こんなんじゃ、いつまで経ってもデビューできないわ」
<1,249>
<1,250> 私としては一刻も早く小説家として世間に認知され、誰もが
<1,251> 驚くお話を書き続ける生活がしたいのに。
<1,252> v03wa0007
<1,253> ワカバ「(――なんて口にしたら、絶対バカにされるわよね)」
<1,254>
<1,255> 何事も成功を収めてからじゃないと、世間は認めてくれない。
<1,256> ちゃんと理解している。理解しているつもりなんだけど――
<1,257> v03wa0008
<1,258> ワカバ「うぅぅ、少しぐらい感想とか期待の声とか聴いてみたーい!」
<1,259>
<1,260> これまで何人かの友達に、手がけた物語の書き出しを読んで
<1,261> もらって感想を求めたが、答えは皆一様に同じだった。
<1,262> v03wa0009
<1,263> ワカバ「――完成したらまた読ませてね……って、そればっかり!」
<1,264>
<1,265> それって感想?
<1,266>
<1,267> 本当に期待されてる?
<1,268>
<1,269> 何か違うよね?
<1,270> 私が欲しいのは、こう……もっと直接パッションに繋がる
<1,271> ような言葉なの。
<1,272> でも、それってすごく贅沢でわがままな要望かな?
<1,273> v03wa0010
<1,274> ワカバ「……難しいわよね、何かを継続するって」
<1,275>
<1,276> いまこうしてタイピングするお話だって、いつ書き始めた
<1,277> ことやら。
<1,278> 当初は1ヶ月で書き上げて、出版社に持ち込んでみようと
<1,279> 決めて取り組んだような気がする。
<1,280> それが途中から1日、2日とズルズルと延びて、気づけば
<1,281> 行き詰まったのを理由に寝かせてしまったのだ。
<1,282> v03wa0011
<1,283> ワカバ「テーマが悪かったのかなぁ?」
<1,284>
<1,285> 恋愛って古今東西誰しもが惹かれる題材だと思うし、色々な
<1,286> シチュエーションで飽きさせないように書き綴れると信じていた。
<1,287> だけど、いざ挑戦してみたら大きな難関にぶつかってしまい、
<1,288> 段々と両手が動かなくなっていく。
<1,289> v03wa0012
<1,290> ワカバ「えーっと、『そのとき彼の腕を振り払えず、私は』……って、
<1,291> これも違うかぁ」
<1,292>
<1,293> 先に待つ展開は決まっていても、そこにつながるシーンが
<1,294> どうしてもうまく動いてくれない。
<1,295> たとえばこれが食事の風景だとすれば、詰まるわけもなく
<1,296> スラスラ書ける。
<1,297> じゃあなんで、恋愛だと進まなくなるの?
<1,298> v03wa0013
<1,299> ワカバ「……胸に手を当てて訊いてみよ。さすれば、自ずと答えは
<1,300> 出るもの」
<1,301>
<1,302> ……はいはい。格言を実行するまでもなく解ってます。
<1,303> それは、私が恋愛ってものをよく理解できていないから。
<1,304> v03wa0014
<1,305> ワカバ「理屈とかじゃなくて、感覚的に……分かんないのよね」
<1,306>
<1,307> そりゃ私にだって、恋する気持ちのひとつやふたつはある。
<1,308> でもそれを他人に伝えるのが非常に難しい。
<1,309> ……だって私――
<1,310> v03wa0015
<1,311> ワカバ「――告白とか、したことも、されたこともないもん」
<1,312>
<1,313> 自分の気持ちを伝えたことのない人間が、読み手である赤の
<1,314> 他人を相手にどう文章で表現すればいい?
<1,315> 誰かに『好き』と言われたと仮定しても、言葉に詰まって
<1,316> 何も言えそうにない自分しか想像つかない。
<1,317> いくらフィクションとはいえ、そこにある程度の現実味が
<1,318> なかったら……それこそ『お話にならない』ではないか。
<1,319> v03wa0016
<1,320> ワカバ「うーっ、この小説……しばらくお休み!」
<1,321>
<1,322> もう少し経ってからのお楽しみにするってことで、ひとまずお終い。
<1,323> v03wa0017
<1,324> ワカバ「あーぁ。そうすると、手を付けられそうなのは……」
<1,325>
<1,326> 児童向けの宝探しのお話か、毎晩窓辺に現れる哀しい幽霊のお話……のどちらか?
<1,327> v03wa0018
<1,328> ワカバ「宝探しは、第5のカギを見つけたところまで書いてて――
<1,329> 幽霊は、今度で6回目の登場?」
<1,330>
<1,331> 何だか、どちらも回数ばかり重ねた作品で進展に乏しい。
<1,332> v03wa0019
<1,333> ワカバ「はぁーっ、何だかなぁ。両方とも、グッと来ないのよね」
<1,334>
<1,335> それでもどちらかを選ぶなら、子どもに受けそうな前者か。
<1,336> v03wa0020
<1,337> ワカバ「(――あー、だけど。完成させても、聴かせる相手って
<1,338> ココぐらいよね)」
<1,339>
<1,340> あの子が喜ぶのは悪くないけど、イコール一般受けするとは言い難い。
<1,341> black450
<1,342> v03wa0021
<1,343> ワカバ「ねぇ、どうするの私?
<1,344>
<1,345> 苦手な幽霊、行ってみる?」
<1,346>
<1,347> こうなるともう、グダグダのスパイラルに陥ってしまい、
<1,348> 書き直しも効かなくなった原稿で作った飛行機の出番がくる。
<1,349> bg04b03
<1,350> st03_d03
<1,351> v03wa0022
<1,352> ワカバ「……今日は、どっちが飛ぶかなー」
<1,353>
<1,354> そして、滞空時間の長かった方を選び、少しでも『努力』を
<1,355> して先に進める作業になるのだ。
<1,356> st03_d06
<1,357> v03wa0023
<1,358> ワカバ「――うぅぅぅ、それがダメなのよ!」
<1,359>
<1,360> そう!
<1,361>
<1,362> 無理な進行が良い結果を生んだ試しはない。
<1,363> それなら、新たに選択肢を増やす方が有意義なんじゃないの?
<1,364> st03_d02
<1,365> v03wa0024
<1,366> ワカバ「思い立ったら、実行!」
<1,367>
<1,368> black450
<1,369> 私は軽く両目を閉じて、大きく息を吸う。
<1,370> v03wa0025
<1,371> ワカバ「(――何を書く?)」
<1,372>
<1,373> できれば、前のふたつとは違う傾向の作品で。
<1,374> 何かこう、黙っていても指先が進むような、そんな内容が
<1,375> ベストだと思う。
<1,376> v03wa0026
<1,377> ワカバ「……むかし、むかし……」
<1,378> 定番の出だし。
<1,379> v03wa0027
<1,380> ワカバ「……ひとりのお姫様がおりました」
<1,381> 定番の下り。
<1,382> v03wa0028
<1,383> ワカバ「そのお姫様の名前は、クリスティナ・ドルンといい――」
<1,384>
<1,385> それは、白の国を治めていた実在のお姫様の名前。
<1,386> 私が書くまでもなく、有名なお話が現在に残っている。
<1,387> v03wa0029
<1,388> ワカバ「(――なんで私、急にクリスティナ姫の話なんて……)」
<1,389>
<1,390> これまで、一度だって書こうなんて思わなかったのに。
<1,391> ……でも、いま動かしている指は、確かに頭の中に浮かぶ
<1,392> 光景を形にしようとしていた。
<1,393> v03wa0030
<1,394> ワカバ「(――あ、これって……私が最近見る夢の内容に似てる?)」
<1,395>
<1,396> そう思った途端、急に自信が湧いてきた。
<1,397> 断片的なシーンばかりの夢で『使えない』と考えていたのに、
<1,398> ここにきて『ひとつのお話』へ変化しようとしている。
<1,399> sv006a
<1,400> v03wa0031
<1,401> ワカバ「――これって、いけるかも!」
<1,402>
<1,403> 信じられないぐらいアイデアが浮かぶ。
<1,404> それはもう、これを書かずに何を書けばいいかというぐらい!
<1,405> v03wa0032
<1,406> ワカバ「(――ごめんね、ココ)」
<1,407>
<1,408> ……これでしばらくは、宝探しの話とサヨナラなの。
<1,409> black450
<1,410> bg01a01
<1,411> Srhn_BGM10
<1,412> st02_e01
<1,413> v02co1102
<1,414> ココ「ただい、まー」
<1,415>
<1,416> 家に戻ってドアを開けるときは、必ずごあいさつ。
<1,417> だって、そうしないとセロがビックリしちゃうの。
<1,418> st02_d00
<1,419> v02co1103
<1,420> ココ「……あれ、れー?」
<1,421>
<1,422> いつもだったら、お返事あるのに。
<1,423> もしかして、まだ寝てる?
<1,424> st02_e01
<1,425> v02co1104
<1,426> ココ「セーロー?」
<1,427>
<1,428> black450
<1,429> SE03C
<1,430> ボクは、セロの部屋に行ってドアを叩きます。
<1,431> v02co1105
<1,432> ココ「かえり、まし、たー」
<1,433>
<1,434> ……やっぱり、お返事ありません。
<1,435> v02co1106
<1,436> ココ「セーロー?」
<1,437>
<1,438> 黙ってお部屋に入るのは、良くないの。
<1,439> bg01b01
<1,440> だから、声はちゃんとかけます。
<1,441> st02_d04
<1,442> v02co1107
<1,443> ココ「……いませ、ん」
<1,444>
<1,445> ベッドの上にも、本棚の隙間にも、セロの姿はありません。
<1,446> ……かくれんぼじゃないみたい。
<1,447> st02_d05
<1,448> v02co1108
<1,449> ココ「どーこー?」
<1,450>
<1,451> セロが居ないと、ボク困っちゃいます。
<1,452> だって、朝ご飯作れないから。
<1,453> st02_d07
<1,454> v02co1109
<1,455> ココ「うーん、うーん」
<1,456>
<1,457> ご飯を食べないと、かくれんぼできません。
<1,458> ……だって、お腹の鳴る音で見つかっちゃうから。
<1,459> st02_d03
<1,460> v02co1110
<1,461> ココ「どうしよ、う?」
<1,462>
<1,463> セロ、もしかしたらお外?
<1,464> ボクが帰る前に、何処かに行ったのかな?
<1,465> st02_e02
<1,466> v02co1111
<1,467> ココ「さが、そーう」
<1,468>
<1,469> そうだよね。じっとしてても、退屈だもの。
<1,470> 家の中でマイゴにならないから、動いても平気だよね。
<1,471> st02_e01
<1,472> v02co1112
<1,473> ココ「セーロー、どーこー?」
<1,474>
<1,475> もしかしたら、『もうひとつのベッド』に居るかも。
<1,476> black450
<1,477> ボクは、両足跳びでピョンピョンしながらリビングに。
<1,478> そうしたら――
<1,479> sv007b
<1,480> v02co1113
<1,481> ココ「あー、やぱぱりー」
<1,482>
<1,483> セロ、ソファーでセロが寝てました。
<1,484> ボク、さっきここを見ないでお部屋に行っちゃった。
<1,485> 先に見ておけば良かったのにね。
<1,486> v02co1114
<1,487> ココ「セーロー。おき、てー、おき、てー」
<1,488>
<1,489> v04ce0001
<1,490> セロ「……うぅぅーん」
<1,491>
<1,492> v02co1115
<1,493> ココ「あさ、ご、はーん」
<1,494>
<1,495> v04ce0002
<1,496> セロ「…………もう少し、ねむ……」
<1,497>
<1,498> v02co1116
<1,499> ココ「(――ねーむ?
<1,500>
<1,501> ネムネムさん?)」
<1,502>
<1,503> セロって、いつもご本を読んで、そのまま寝ちゃいます。
<1,504> v02co1117
<1,505> ココ「もーすこ、しー?」
<1,506>
<1,507> v04ce0003
<1,508> セロ「……うん、もう、少し……」
<1,509>
<1,510> v02co1118
<1,511> ココ「あ、いー」
<1,512>
<1,513> だけど、少しって、どれぐらい待てばいいのかなぁ?
<1,514> v02co1119
<1,515> ココ「うーん」
<1,516>
<1,517> セロが起きるまで、することありません。
<1,518> v02co1120
<1,519> ココ「(――あー。あるかも……)」
<1,520>
<1,521> ボクがご飯作るの、どうかな?
<1,522>
<1,523> セロ、楽ちん?
<1,524> ……ということで。今日は、ボクが作ってみます!
<1,525> v02co1121
<1,526> ココ「セーロー。ごは、ん、なにー?」
<1,527>
<1,528> v04ce0004
<1,529> セロ「……ぅん?
<1,530>
<1,531> そうだね。ハムエッグかな?」
<1,532>
<1,533> v02co1122
<1,534> ココ「おー、ハム、エググー」
<1,535>
<1,536> 材料、知ってます。道具も、ちょっと知ってます。
<1,537> ハムと、卵と、フライパンと……おしまい?
<1,538> v02co1123
<1,539> ココ「がんばり、ます」
<1,540>
<1,541> v04ce0005
<1,542> セロ「……ん?」
<1,543>
<1,544> black450
<1,545> まずは冷蔵庫です、冷蔵庫。
<1,546> ドアを開けると、ひんやりしてます。
<1,547> v02co1124
<1,548> ココ「たまーごー、ハムー」
<1,549>
<1,550> ……あ、失敗。両手がいっぱいで、ドアが閉められません。
<1,551> v02co1125
<1,552> ココ「……えへへ」
<1,553>
<1,554> でもでも、ボク、平気です。
<1,555> こんなときは、背中で閉めるんだよ、ねー。
<1,556> セロは背が高いからお尻だけど、ボクは、せーなーかー。
<1,557> v02co1126
<1,558> ココ「つぎ、はー」
<1,559> フライパン。
<1,560> フライパンは、台所の横の棚にあって――
<1,561> v02co1127
<1,562> ココ「あー」
<1,563>
<1,564> ダメです。背中で棚のドア、開きません。
<1,565> v02co1128
<1,566> ココ「……うぅぅぅ」
<1,567>
<1,568> 順番、間違えちゃった。
<1,569> 最初にフライパンをとって、次に卵とハム……だったんだ。
<1,570> 何だか、パズルみたい。
<1,571> v02co1129
<1,572> ココ「(――うん。つぎは、へいきー)」
<1,573>
<1,574> ……ということで。今日は、ここまで。
<1,575> 続きは、セロに頼みます。
<1,576> black450
<1,577> SE10A
<1,578> sr001_04cero01
<1,579> black450
<1,580> black450
<1,581> SE10A
<1,582> sr001_04cero01
<1,583> black450
<1,584> Srhn_BGM02
<1,585> v04ce0006
<1,586> セロ「(――うーん)」
<1,587>
<1,588> 最近どうも体調が良くないと感じていたが、まさかこれほどまでとは思わなかった。
<1,589> ……とうとう、右腕の感覚がなくなってしまったのだ。
<1,590> v04ce0007
<1,591> セロ「(――困ったなぁ)」
<1,592>
<1,593> これじゃ本のページをめくれないどころか、
<1,594>
<1,595> ・ ・
<1,596>
<1,597> ココの相手も
<1,598> ままならない。
<1,599> だけど、どうしてこんなになるまで気づかなかったのだろう?
<1,600> v04ce0008
<1,601> セロ「……あぁ……」
<1,602> 分かった。
<1,603> sv007c
<1,604> 僕はまたソファーで寝てしまい、枕代わりの右腕が痺れて
<1,605> 動かなくなっただけだ。
<1,606> v04ce0009
<1,607> セロ「(――なんだ、良かった)」
<1,608>
<1,609> ひと安心して頭をずらし、ぼんやり
<1,610>
<1,611> まどろ
<1,612>
<1,613> 微睡んでいれば、何とも言えない気持ち悪さがこみ上げてくる。
<1,614> v04ce0010
<1,615> セロ「……うぇぇ……」
<1,616>
<1,617> やっぱり、夜はしっかりとベッドで寝るべき。
<1,618> ……と、毎度のように後悔するが、どうしてもリビングの
<1,619> ソファーを愛用してしまう自分がここに居る。
<1,620> いまは亡き親父の『悪癖を受け継いだ』と分かっていても、なかなかやめられない。
<1,621> v04ce0011
<1,622> セロ「(――いっそのこと、本棚とベッドを自分の部屋からリビングに移せばいいかな?)」
<1,623>
<1,624> そうすれば、ソファーで寝ることもなくなる。
<1,625> v04ce0012
<1,626> セロ「(――なんか、すごくダメな考えだよね)」
<1,627>
<1,628> そんなことをしたら、ズルズルと物が増えて、きっと目も
<1,629> 当てられないリビングになる。
<1,630> 一人暮らしならまだしも、
<1,631>
<1,632> ココ
<1,633>
<1,634> 妹の存在を忘れちゃいけない。
<1,635> あの子はすぐに真似をしたがるから、ふたりしてリビングをジャングルに変えてしまうだろう。
<1,636> v04ce0013
<1,637> セロ「……うん?」
<1,638>
<1,639> そういえば、ココは何処に居るんだろう?
<1,640> まだ部屋で寝ているのかな?
<1,641> それとも、もう遊びに出かけてしまった?
<1,642> 僕は朝の光を避けるように薄目を開けて、
<1,643> v04ce0014
<1,644> セロ「……ココ?」
<1,645> 軽く呼びかけてみる。
<1,646> しばらくしても返事がないから、近くには居ないらしい。
<1,647> ココの大好きな『ひとりかくれんぼ』の最中だったりすると、これもまたアテにならないのだが。
<1,648> v04ce0015
<1,649> セロ「(――まぁ、いいか……)」
<1,650>
<1,651> たとえこんな朝早くから遊びに行っていたとしても、お腹が減ったら帰ってくる。
<1,652> それに、今日はまだ背中の
<1,653>
<1,654> ・ ・ ・ ・
<1,655>
<1,656> ネジ巻きも回してあげてない。
<1,657> v04ce0016
<1,658> セロ「(――平気、かな?)」
<1,659>
<1,660> ちょっと心配だけど、以前のように下手に探しに出かけて
<1,661> 入れ違いになる方が怖かったりするし。
<1,662> v04ce0017
<1,663> セロ「(――果報は寝て待て……ってことで)」
<1,664>
<1,665> きっと、僕がもう一眠りして目覚める頃には帰ってくるはず。
<1,666> v04ce0018
<1,667> セロ「(――今日の朝ご飯は……何を作ってあげよう……か……)」
<1,668>
<1,669> black450
<1,670> v02co1102
<1,671> ココ「ただい、まー」
<1,672>
<1,673> v04ce0019
<1,674> セロ「(――うん?)」
<1,675>
<1,676> 何となく、ココの声がしたような、しないような。
<1,677> v02co1103
<1,678> ココ「……あれ、れー?」
<1,679>
<1,680> v04ce0020
<1,681> セロ「(――あぁ、やっばり、そう……だ)」
<1,682>
<1,683> 眠い頭でも、ココの喋りだけはハッキリ判る。
<1,684> 僕は返事をしようと少し頭を上げたつもりだったが、声よりあくびの方が先に出てしまった。
<1,685> v02co1104
<1,686> ココ「セーロー?」
<1,687>
<1,688> v04ce0021
<1,689> セロ「(――おや?
<1,690>
<1,691> 声が遠くなった?)」
<1,692>
<1,693> パタパタと走り回る音から察するに、僕の部屋の方まで
<1,694> 探しに行ってしまったらしい。
<1,695> v02co1105
<1,696> ココ「かえり、まし、たー」
<1,697>
<1,698> v04ce0022
<1,699> セロ「(――こっちだよー、ココ)」
<1,700>
<1,701> v02co1106
<1,702> ココ「セーロー?」
<1,703>
<1,704> 大きめの声で呼ぼうとしたけど、そのうち戻るだろうと
<1,705> 思いとどまる。
<1,706> v04ce0023
<1,707> セロ「(――まだ、起き上がるには辛いなぁ……)」
<1,708>
<1,709> もう少しゆっくりして、それから――
<1,710> v02co1113
<1,711> ココ「あー、やぱぱりー」
<1,712> 突然、ココの声が真横で響いた。
<1,713> sv007b
<1,714> v02co1114
<1,715> ココ「セーロー。おき、てー、おき、てー」
<1,716>
<1,717> v04ce0024
<1,718> セロ「……うぅぅーん」
<1,719>
<1,720> 思ったよりも早いココの登場に、身体がついて来ない。
<1,721> v02co1115
<1,722> ココ「あさ、ご、はーん」
<1,723>
<1,724> v04ce0002
<1,725> セロ「…………もう少し、ねむ……」
<1,726>
<1,727> v02co1117
<1,728> ココ「もーすこ、しー?」
<1,729>
<1,730> v04ce0003
<1,731> セロ「……うん、もう、少し……」
<1,732>
<1,733> ココの喋りを聴いて、思わず甘えてしまう僕。
<1,734> v02co1118
<1,735> ココ「あ、いー」
<1,736>
<1,737> v04ce0025
<1,738> セロ「(――ありがと、ココ)」
<1,739>
<1,740> 心の中で、あと10分と区切りをつけておく。
<1,741> v02co1119
<1,742> ココ「うーん」
<1,743>
<1,744> v04ce0026
<1,745> セロ「(――うん?)」
<1,746>
<1,747> ココが何か考えてるみたいだけど……
<1,748> v02co1121
<1,749> ココ「セーロー。ごは、ん、なにー?」
<1,750>
<1,751> 昨日はサラダと、溶かしたチーズを乗せたパンだったな。
<1,752> そうすると、今日は――
<1,753> v04ce0004
<1,754> セロ「……ぅん?
<1,755>
<1,756> そうだね。ハムエッグかな?」
<1,757>
<1,758> v02co1122
<1,759> ココ「おー、ハム、エググー」
<1,760>
<1,761> v04ce0027
<1,762> セロ「(――そうそう。ココの大好きな)」
<1,763>
<1,764> v02co1123
<1,765> ココ「がんばり、ます」
<1,766>
<1,767> black450
<1,768> v04ce0005
<1,769> セロ「……ん?」
<1,770>
<1,771> black450
<1,772> ココは何を頑張るのだろう?
<1,773>
<1,774> 食器でも準備してくれる?
<1,775> SE02A2
<1,776> そんなことを考えていると、ココがパタパタと台所の方へ
<1,777> 遠ざかっていく。
<1,778> black450
<1,779> そして、しばらく冷蔵庫を開く音などが響いたあとで――
<1,780> SE02B1a
<1,781> v02co1130
<1,782> ココ「むーりー」
<1,783>
<1,784> ココが卵とハムを持って、ソファーまで戻ってきた。
<1,785> v04ce0028
<1,786> セロ「あははっ。自分で作るつもりだったの?」
<1,787>
<1,788> v02co1131
<1,789> ココ「うん、うん」
<1,790>
<1,791> v04ce0029
<1,792> セロ「そうかそうか。でも、火を使う料理に挑戦するときは先に
<1,793> 一声かけてね」
<1,794>
<1,795> v02co1132
<1,796> ココ「あ、い」
<1,797>
<1,798> 僕はココから材料を受け取り、一緒に台所へと向かう。
<1,799> ……今日も、良い1日でありますように。
<1,800> SE10A
<1,801> trial_01
<1,802> bg01a01
<1,803> st00_a00
<1,804> v00tr0011
<1,805> 体アン「彼は、あたしたち一行のリーダー的な存在、セロ・サーデ」
<1,806>
<1,807> st00_a01
<1,808> v00tr0012
<1,809> 体アン「
<1,810>
<1,811> シスター
<1,812>
<1,813> 人形のココと一緒に暮らす、未来の歴史学者さん」
<1,814>
<1,815> st00_a02
<1,816> v00tr0013
<1,817> 体アン「……セロったら、昔もいまも、同じような生活してるのね」
<1,818>
<1,819> v00tr0014
<1,820> 体アン「今度会ったら、ちょっと言ってやろうかしら?
<1,821>
<1,822> 規則正しい生活を送りなさい、って」
<1,823>
<1,824> st00_a00
<1,825> v00tr0015
<1,826> 体アン「あ、そうそう。あたしたち人間と同じように動く人形は、『シスター』と呼ばれているの」
<1,827>
<1,828> st00_a01
<1,829> v00tr0016
<1,830> 体アン「……ココのように見た目が可愛らしい
<1,831>
<1,832> シスター
<1,833>
<1,834> 人形もいれば、人間と
<1,835> 見まごうばかりの外見を持つ
<1,836>
<1,837> シスター
<1,838>
<1,839> 人形もいるわ」
<1,840>
<1,841> st00_a00
<1,842> v00tr0017
<1,843> 体アン「ちなみに、あたしのように舞台に立つ人間たちは、一般の
<1,844> 人と違って『シュエスタ』って呼ぶの」
<1,845>
<1,846> v00tr0018
<1,847> 体アン「もし何処かで、
<1,848>
<1,849> シスター
<1,850>
<1,851> 人形のことを『シュエスタ』って呼ぶ人が
<1,852> 居たら、その筋の人の可能性が高いわ。憶えておいてね」
<1,853>
<1,854> st00_a01
<1,855> v00tr0019
<1,856> 体アン「……と、あたしがずっと話していても話が進まないから、
<1,857> またあとで」
<1,858>
<1,859> bg01a01
<1,860> black450
<1,861> bg01a01
<1,862> st02_a00
<1,863> Srhn_BGM01
<1,864> v04ce0030
<1,865> セロ「……さて、少し早い朝食も済ませたことだし」
<1,866>
<1,867> 僕はココとふたり、玄関を出たところで顔を見合わせる。
<1,868> v04ce0031
<1,869> セロ「ココは今日、何か予定があるの?」
<1,870>
<1,871> st02_b01
<1,872> v02co1133
<1,873> ココ「ない、です。セーロー、はー?」
<1,874>
<1,875> v04ce0032
<1,876> セロ「うーん。いつもと同じかな」
<1,877>
<1,878> 夏休みに入った途端、僕は家から出る機会がめっきり減った。
<1,879> 元々、食料などの買い出しはまとめて行い、配送してもらうようにしている。
<1,880> 僕が車を運転できるよう、免許を取りに行けば行動範囲も
<1,881> 広がるんだけど……
<1,882> v04ce0033
<1,883> セロ「(――まとまった時間は、調べごとに没頭したいんだよね)」
<1,884>
<1,885> 自分でも良くないと解っていながら、『街までなら歩いて
<1,886> いけるから』と思って現在に至る。
<1,887> v04ce0034
<1,888> セロ「……そのうち、取りに行った方がいいかな?」
<1,889>
<1,890> いざというとき、車が運転できた方がいいのは確かだし。
<1,891> st02_a00
<1,892> v02co1134
<1,893> ココ「んー?」
<1,894>
<1,895> v04ce0035
<1,896> セロ「――あ、いいんだ。気にしないで。ところで、ココはもう
<1,897> 遊びに行くのかい?」
<1,898>
<1,899> st02_b00
<1,900> v02co1135
<1,901> ココ「んーんー。まーだー」
<1,902>
<1,903> ココは広げた両手を口元に運び、背筋を仰け反らしてクイッ、クイッとリズムをつけて身体を揺する。
<1,904> その動作は、毎朝の日課になっている……
<1,905> v04ce0036
<1,906> セロ「……あぁ、
<1,907>
<1,908> ミルク
<1,909>
<1,910> 牛乳か」
<1,911>
<1,912> st02_b02
<1,913> v02co1136
<1,914> ココ「そー、です。ミル、クー」
<1,915>
<1,916> v04ce0037
<1,917> セロ「今日飲むはずの分、昨日ココが飲んじゃったんだよね」
<1,918>
<1,919> st02_a10
<1,920> v02co1137
<1,921> ココ「えへ、へー」
<1,922>
<1,923> v04ce0038
<1,924> セロ「今日の分が届くのは、もう少しあとなんだよな……」
<1,925>
<1,926> 配達をしてくれるのは、よくココの遊び相手になってくれる少年――ライト。
<1,927> 彼のお母さんが『パン屋さん』を経営している関係から、
<1,928> 1日3本の牛乳を届けてもらっている。
<1,929>
<1,930> いわ
<1,931>
<1,932> 曰く、『息子が世話になっている』の理由から、ほとんど
<1,933> 原価ともいえる値段で売ってくれるので申し訳なく思う。
<1,934> v04ce0039
<1,935> セロ「(――ココの方が、ずっとお世話になってるんだよね)」
<1,936>
<1,937> そして僕自身は……この街に越してきた直後から、ライトの
<1,938> 姉――ワカバから何かと良くしてもらっているので、さらに
<1,939> 頭が上がらない。
<1,940> v04ce0040
<1,941> セロ「うちら兄妹、フォーレさん一家に甘えすぎかな?」
<1,942>
<1,943> st02_a01
<1,944> v02co1138
<1,945> ココ「んぁー?」
<1,946>
<1,947> 無邪気にこちらを見上げるココを見ると、わけもなく頭を
<1,948> なでてやりたくなる。
<1,949> v04ce0041
<1,950> セロ「さぁ、どうしよう?
<1,951>
<1,952> まだ届くまで時間もあるし」
<1,953>
<1,954> うちへの配達は一番最後の便で、まだ出発もしてないはず。
<1,955> こちらから取りに出向いたら、ライトが驚くだろうか?
<1,956> 「ひとりでお留守番……できるかな?」
<1,957> 「ふたりでミルクを取りに行くかい?」
<1,958> v04ce0042
<1,959> セロ「ふたりでミルクを取りに行くかい?」
<1,960>
<1,961> のんびり散歩がてら……も悪くないと思う。
<1,962> st02_b02
<1,963> v02co1139
<1,964> ココ「うん、うん」
<1,965>
<1,966> v04ce0043
<1,967> セロ「じゃあ、待ってて。戸締まりしてくるから」
<1,968>
<1,969> black450
<1,970> 僕は家に戻り、自室の窓などを閉めて回る。
<1,971> それほど高価なモノは置いてないとはいえ、大切な蔵書など
<1,972> 盗まれたりしたら勉強ができなくなってしまう。
<1,973> v04ce0044
<1,974> セロ「さて、と。あとは……」
<1,975>
<1,976> 念のため、火の用心、火の用心、と。
<1,977> そう思って台所に足を踏み入れたとき――
<1,978> v04ce0045
<1,979> セロ「うわぁ!」
<1,980>
<1,981> 何の予告もなく首筋を伝った冷たい感触に、飛び上がって
<1,982> しまった。
<1,983> v04ce0046
<1,984> セロ「……え、なになに?
<1,985>
<1,986> もしかして……」
<1,987>
<1,988> とても嫌な予感がした僕は、表に出てココを呼ぶ。
<1,989> bg01a01
<1,990> st02_a00
<1,991> v04ce0047
<1,992> セロ「――ねぇ、ココ。悪いけど、
<1,993>
<1,994> ・ ・ ・ ・
<1,995>
<1,996> おつかいを頼んでいいかな?」
<1,997>
<1,998> st02_b01
<1,999> v02co1140
<1,1000> ココ「いい、よー。ミル、クー?」
<1,1001>
<1,1002> v04ce0048
<1,1003> セロ「そう。ひとりでも平気?」
<1,1004>
<1,1005> st02_b02
<1,1006> v02co1141
<1,1007> ココ「あ、い」
<1,1008>
<1,1009> 力強く頷いたココは、両腕をブンブン回してから街へと
<1,1010> 向かう道を歩き出す。
<1,1011> st02_b07
<1,1012> v02co1142
<1,1013> ココ「いって、くるー」
<1,1014>
<1,1015> v04ce0049
<1,1016> セロ「行ってらっしゃーい」
<1,1017>
<1,1018>
<1,1019> ココの後ろ姿を見送ってから、大きくため息をつく僕。
<1,1020> st04_c07
<1,1021> v04ce0050
<1,1022> セロ「ココのお使いは問題ないとして……」
<1,1023>
<1,1024> やっかいなのは、こちらの方になりそうなのだ。
<1,1025> st04_c06
<1,1026> v04ce0051
<1,1027> セロ「……納屋にハシゴあったよな?」
<1,1028>
<1,1029>
<1,1030> black450
<1,1031> sr002
<1,1032> v04ce0052
<1,1033> セロ「ひとりでお留守番……できるかな?」
<1,1034>
<1,1035> こんな朝早くから誰か尋ねてくるとは思えないが、念のため。
<1,1036> それに、これはココの『練習』にもなる。
<1,1037> st02_a02
<1,1038> v02co1143
<1,1039> ココ「うん、うん」
<1,1040>
<1,1041> v04ce0053
<1,1042> セロ「なるべく早く戻るから、良い子にして待ってるんだよ」
<1,1043>
<1,1044> st02_b02
<1,1045> v02co1144
<1,1046> ココ「あーい」
<1,1047>
<1,1048> これまで数回留守を頼み、だんだんと良くなってきた。
<1,1049> v04ce0054
<1,1050> セロ「(――最初に頼んだときは、大変だったなぁ)」
<1,1051>
<1,1052> 家に戻ったのがお昼で、夕方までココと一緒にリビングの
<1,1053> お片付けに奮闘。
<1,1054> よくもあれだけのおもちゃを持ち出したものだと思う。
<1,1055> v04ce0055
<1,1056> セロ「(――まあ、いまは10分もあればキレイにできるし)」
<1,1057>
<1,1058> black450
<1,1059> 僕は家に入り、ココの手が届かない窓を閉めて玄関に戻る。
<1,1060> bg01a01
<1,1061> st02_a00
<1,1062> v04ce0056
<1,1063> セロ「それじゃ、行ってくるよ」
<1,1064>
<1,1065> st02_a01
<1,1066> v02co1145
<1,1067> ココ「あ、い」
<1,1068>
<1,1069> v04ce0057
<1,1070> セロ「もしも、誰かがやってきたらどうする?」
<1,1071>
<1,1072> v02co1146
<1,1073> ココ「なま、えー。ごよ、うー?」
<1,1074>
<1,1075> v04ce0058
<1,1076> セロ「そうそう。もしもその人が知らない人で、『家に入れて』と言ってきたら?」
<1,1077>
<1,1078> st02_a05
<1,1079> v02co1147
<1,1080> ココ「ダー、メー」
<1,1081>
<1,1082> 留守番の心得を確認できた僕は、ココの頭を撫でてから街に向かって歩き出す。
<1,1083> black450
<1,1084> 丘を超え、家が見えるギリギリの場所で振り返れば、
<1,1085> bg01a01
<1,1086> st02_b07
<1,1087> st02_a07
<1,1088> st02_b07
<1,1089> st02_a07
<1,1090> st02_b07
<1,1091> ココが両手をパタパタさせ、『いってらっしゃい』の合図を送り続けている。
<1,1092> v04ce0059
<1,1093> セロ「あははっ、あの子は」
<1,1094>
<1,1095> black450
<1,1096> 僕は軽く手を振り返してから、少し早めの足取りで歩く。
<1,1097> このペースで行けば、街まで10分。
<1,1098> ちょっとした運動ぐらいにはなるだろう。
<1,1099> sr002
